フォーラム

平成21年度 掛川市景観市民講座 「景観シンポジウム」 を開催しました。


平成21年10月16日(金)、美感ホールにて景観シンポジウムが行われました。
自然回帰や里山ブーム、街並み見学ツアーなどがツーリズムの要素となっている今、まちの景観そのものが「地域の財産」としての位置づけを持ち始めています。
まちは、そこに暮らす人にとって心地よい場所であると同時に、訪れる人にとっても心地よくありたいものです。今後の選択の一つ一つが、掛川のこれからの景観を創っていくという意識のもと、今回のシンポジウムでは、景観を「暮らす人」「訪れる人」「営む人」の3つの視点で捉え、平成19年、20年と実施した景観市民講座を総括し、景観について、掛川とゆかりのある専門家とともに考えます。
■第1部 基調講演 ~景観講座総括 
「地域の大切な財産“景観”をどう意識し、保全するか」
講演:鉄矢悦朗 氏(建築家、東京学芸大学准教授)
 第1部の基調講演では、これまでの講座を振り返りながら「景観講座を通じて見えてきたこと」「参加者とともに創出したもの」についての講演がされました。掛川の景観を考える上での柱は2つあります。
一つ目は「景観をつくっている要素は私たちと自分自身の暮らし」であり、二つめは「景観は地域の歴史的財産であり一人では作れないもの」です。
また、景観を意識するためには「ゆれるまなざし」が大切であることをお話されました。
 景観を意識するための6つの揺れ幅等について事例をまじえて説明した後、「保存ではなく保全が大事」「保全とは(壊すことも含めた)景観を創ること」と訴えられました。
最後に、暮らしやすいこと、いい塩梅な暮らしが景観にとって重要であり、掛川には『分度』という素晴らしいキーワードがあると話され、講演を締めくくりました。
◎講師:鉄矢悦朗(てつや えつろう)氏
 建築家、東京学芸大学准教授、 
NPO法人「調布まちづくりの会」理事。
 掛川との関わりは、2004年に「掛川ひかりのオブジェ展」に学生有志と参加して以来。 NPOスローライフ掛川主催「掛川ライフスタイルデザインカレッジ」のフォーラム講師を務める。
 昨年度の掛川市景観市民講座でも全3回の講師を務める。東京都調布市在住。

■第2部 シンポジウム「生活と景観を考える」
生活と景観を考えるというテーマのもと、掛川の景観資源、木造駅舎の保全、営みと景観などについて意見交換を行いました。議論の中で、見慣れてしまった景観を価値あるものにするために他所者からの刺激が大切であること、農の風景のように手間ひまかけた景観は素晴らしいものになる要素があることなどの意見が出されました。また、議論がされている木造駅舎の問題については、保存か解体かという議論はナンセンスであること、都市経営として「掛川の何を売り物にするのか」を考えた時、おのずと答えは出るのではないか、などの意見が出されました。
行政経営上の開発行為と景観保全のバランスについての議論では、
現代社会では技術の進歩や素材の多様性によって我慢しなければ無秩序がまん延するような状態の社会になってしまったという指摘もありました。
また、現代において「もてなすための景観づくり」よりも、「今あるものでどうもてなすか」もっと努力や知恵を絞るべきだとの指摘もされました。
◎パネラー
 ・鉄矢悦朗氏(東京学芸大学 准教授)
 ・小松正明氏(独立行政法人都市再生機構 部長)
 ・川口 功氏(社会福祉法人 大東福祉会 理事長)
 ・名倉光子氏(NPO法人とうもんの会 理事長)
◎進行
  佐藤雄一(NPO法人スローライフ掛川 理事)

アート・イン・ライフ フォーラムが開催されました。

「もっと生活にアートを!アートが生活を変える」をテーマに、山村レイコさんとセーラ・マリ・カミングスさんを、国の重要文化財である大日本報徳社大講堂にお迎えした。
お二人の組み合わせは史上初。当日は111人もの方が参加した。
まずはそれぞれのフリートーク。

「振り返れば、何を見ても私は感動している。今も毎日が感動だ」
山村さんは18歳の頃、全国をバイクツーリングした時の手記『日本一周乙女の一人旅』をバイク雑誌に連載し、著述活動を開始。1987年、憧れだったアフリカの地を訪れ、海外ラリーにのめり込んだ。
「砂漠でのレースでは見渡す限り何もないが、地平線がずーっと広がっていた。地平線がアートだった」
元々自然が大好きだった山村さんは1995年に富士山麓・朝霧高原に移住した。「野菜や花など育てることによって、地球に生きている感じがした。何気ないものでも、よくみればたくさんの感動がある」散歩にでては写真を撮り、見るものすべてに感動したと山村さんは語る。身近な場所にもアートはあるのだ。
「人間がつくりだすものもすごいが、自然がつくりだすものには勝てない。朝霧の冬はとても寒いが厳しいからこそ、その景色が見える」山村さんは「夢は次々と追いかけて行きたい」と熱く語った。

「会社に入ったとき、立場がなかった。でも逆に考えると、名刺も肩書きもないことは、自由にやれることだと思った」
セーラさんは、ペルシルバニア州立大学在学中に日本に留学。卒業後1994年に株式会社小布施堂に入社した。入社当初は会社に仲間がいなかったと語る。「企画を立ててもいつも拒否、否定された。でも20代・30代は怖いもの知らずで、どんどん企画を提案した」
1997年には株式会社桝一市村酒造場の再建築に取り組み、半世紀前までやっていた木桶(きおけ)の復活を大杜氏(おおとうじ)に提案した。
「職人は頑固な人が多いし、外国人=反対と思われがちだが、一番最初に応援してくれたのは職人さんだった」
仕事をする以上はいい仕事をしたいと思う、共通の心があったからだ。
「バツ【×】を前向きに考えれば、プラス【+】になる!それは、自分だけではない」と教えてくれた。
それぞれのお話のあと、対談が始まった。

アイディアを出すといつも却下されていたセーラさんだが、「それは自分の受け止め方次第」と言う。
「かしこまって考えると中々動けないが、楽しい方向に考えれば体が動く」山村さんも、「諦めないことを、プラスに持っていこう」と語る。
「昔から諦めが悪かった」と笑いながらセーラさんは言った。でもその反対意見のおかげで鍛えられてきた。山村さんもアフリカに行くと言った時、親は大反対。
「でも、そんな壁があったからこそ絶対に曲がらない強い意志ができた」
「日本は小さなものを大切にしていたのに、今はどんどん拡大していっている。
細かいものをもっと磨くべきでは」とセーラさんは考えている。
山村さんの口癖は「もっと小さく」である。
「ラリーも、若い頃は小さい大会から大きな大会に進んでいったが、色々挑戦したからこそ気持ちのいいサイズが分かってきた」
人が見ての形ではなく、中身が大事だということだ。
山村さんの夢は、「朝霧に来ると、空気がよかったり富士山がキレイだったり、病気の人が完治ではないが元気になってくれる、そんな空間をつくりたい」
セーラさんの夢は、「今まではチャンスがあったからこそ、挑戦できた。これからは一人でも多くの人が、挑戦できる場所を広げていきたい。一人では出来ないチーム作りをしたい」
対談後、参加者からの質問の中で、お二人はこう答えられた。
「40代までは怖いもの知らずで、夢に向かっていつも走っていた。でも、今は今のペースで歩けるようになった」
自分のそんなところが変わったと山村さん。
「農業を拠点にして、色々な人が集まる場所をつくりたい。そして何があっても感謝の気持ちを忘れず、嫌なことを言われても言ってくれてありがとうと思う気持ちが大事」セーラさん自身のコンセプトである。

最後に、とうもんの里の名倉さんからお二人へのお願いがあった。
「農家のみんなは道徳は持っているが、経済が成り立たない。農業の素晴らしさを伝えたいが、私たちだけでは全国に届かない。お二人から届かない気持ちを伝えてほしい」
参加者からは、お二人の“今、自分に出来る事を、諦めないで続ける姿勢”に感銘を受けたという声が寄せられた。

山村レイコ&セーラ・マリ・カミングス 公開フォーラム

山村レイコ&セーラ・マリ・カミングス in 大日本報徳社
“もっと生活にアートを~アートが生活を変える”「美しい毎日の創造」へ。
山村レイコさんとセーラ・マリ・カミングスさんを、国の重要文化財大日本報徳社の大講堂にお迎えして開催する公開フォーラムです。お二人の日本の美や自然の価値をアーティスティックに取り入れた生活から、豊かなライフスタイルを創造するヒントを、生活者へ提示いただきます。お二人の組み合せは史上初!ぜひご参加ください。参加ご希望の方は、下記の必要事項を記載したファックスまたはメールをお送り下さい。
■日時/平成21年10月31日(土)
15:00~17:00 受付14:30より
■会場/大日本報徳社大講堂 掛川城北、市立中央図書館前 掛川駅北口より徒歩10分)
※会場には駐車場がありません。大手門駐車場または公共交通機関をご利用ください。
■講師/山村レイコ & セーラ・マリ・カミングス
■参加費/無料(事前登録制、定員200名)
NPO法人スローライフ掛川・連絡事務所
〒436-0091 静岡県掛川市城下5-10 コンセプト㈱内
Tel.0537-22-0654 Fax.0537-22-0786
E-Mail project@slowlife.info