平成19年度 第3回 掛川市景観市民講座 冬・まちなかの景観を考える」が実施されました。

2007/12/16 平成19年度 掛川市景観市民講座 第3回 「冬・まちなかの景観を考える」を開催しました。
掛川市には、海、山、里など、多様な地域資源があります。私たちの暮らすまちの姿は、人が関わり、育てることで美しい景観となるのだという考えのもと、まちの景観を改めて見つめ直し、よりよい景観とは何かを、市民の目線でまちづくり考える研究者(=鉄矢悦朗氏)、日本の町並みに詳しいゲスト(塩見寛氏)と共に考えます。最終回となる第3回は「まちなかの景観」です。
 
 
[フィールドワーク先]
城下町風街並み
連尺商店街
鉄砲屋
神明町路地
まちなか路地
大手門
報徳図書館
竹の丸
[ポイント]
①まちの賑わいと景観
②商いと景観
③まちなかとは何か
④景観をどのように考えるのか(全3回の総括)
 
[ワークショップにて(語録抄録)]
■参加者感想
・その時代の商いの手段、地区計画、商いの手法が景観になっていると感じた。
・祭りが映える景観というのがあってもいいと感じた。道幅が広くなりすぎて屋台がすれ違うときの緊張感がなくなり、夜のまちが明るすぎて屋台が映えない。
・人が美しいと感じるのはどんな風景なのかを考えたいと思った。
・里を見る距離とまちなかを見る距離とは違うと感じた。里は目で見るのではなく、五感で見るものだと気づいた。
・電線は「美しい」というフィルターを通せば邪魔なものだが、エネルギーという見方をすればいいもの。フィルターは、美しいか、美しくないか、だけではない。
・駅から城までが流れるようになっていない。集客の要素はあるのに、トータルで仕組みになっていない。
・一昔前、中心市街地は「まちに行く」という感覚だった。楽しいこと、面白いことがある場所だった。
・神明町の路地を歩き、まちなかにもいろんなところがあっていいと感じた。車の道と歩く道。歩く道は車社会には不便だが、好奇心でゆっくり歩ける。
・まちをいじくり返すことがいいことだとは思わない。
・地元の人がまちなかに来るようなまちづくりをしなくてはだめ。遠くからの観光の人だけでなく。
■講師より総評(ゲスト:塩見寛氏より)
・神明町の路地を巡って、景観を構成する要素としての路地、水路、宅地割りの基盤が今も残っていると感じた。
・歴史的な積み重ねや、暮らしの息吹の中に景観がある。
・まちづくりにとっての景観だけでなく、住んでいる人にとってどうなのか、地域地域で生活していく上でどうあればいいのか、考え、発言していくべき。
・日常と非日常、外と内、新しいものと古いもの、そうした対立の中で歴史の積み重ねがあり、今後はそれらが融和していく工夫、工夫を活かせる仕組み作りが大切になってくる。
■講師より総評(講師:鉄矢悦朗氏より)
・掛川のまちについて説明するとき、本で知っているエピソードではなく、実感を伴った話せるエピソードが必要。そうした相手の心にとまるエピソードが多いほど、まちは魅力的になる。
・本当の城下町とは何か、何が城下町風なのか掘り下げて
いくことが必要。町人が街道筋でどう生活していたか、何が城下町風なのか、その暮らしぶりは、お祭りを大切にする文化とは、東海道筋に唯一残る庶民による長唄文化とは。権力者の象徴である天守閣や白いなまこ壁ではなく、城下に住む町人の力強い息づかいこそ、城下町掛川なのかもしれない、というように違う視点で考えることも大切。
・近世の城下町としての掛川市、昭和40年代の力強く前に進んでいた時代の元気な掛川市。どちらか一つでまちづくりを進めるので
はなく、両方がうまくつながっていく工夫、新しい可能性を探っていくことが大切。個性はたくさんあっていい。
・何のためのコンパクトシティか。持続可能なものにしていかなければいけない。
・自分自身のフィルターを持つこと、思いつきでないフィルターが大切。
・自分たちの住んでいるまちを学ぶのに、今の教育は「市を学び、県を学び、日本を学び、世界を学び…」とどんどんグローバルになっていく。しかし小学生は小学生なりの、中学生は中学生なり
の、高校生は高校生なりのまちの見方、関わり方があるはずで、中学、高校でもずっと自分の住むまちのことは勉強していくべき。ただ知識を広めていくだけでなく、その年齢にあった知識の深め方も大切。それでなければ工夫のしようがない
・今回、好き勝手に感じたことを外からの目で言わせていただいたが、皆さんの考える火種になればと思う。当たり前だと思っていたエピソードが、別の世代では当たり前でなくなっているということを考えて欲しい。知らないうちにギャップがある。機会をつくること、話し合いの場を持つことが大切。
■終わりに(主催者より)
都市計画の中に「景観」という要素が入り、より個性、地域性が大切になってきた。今後もこのような市民講座を開催していく中で、より広い視点から、多くの方の意見を頂き、まちづくりに活かしていきたい。3回の講座を通じて、様々なアドバイス、ご意見を頂いた。本当にありがとうございました。

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